ルイ・コスタ
ポルトガルVSロシアでは、さすがにポルトガルの必死さが伝わってきた。ぼくはポルトガルのゴールデンエイジを追いかけていて、大大会の度ファンであり続けているのだが、四年前のポルトガルの強さと鋭さは今日の試合からは、ついぞ感じられなかった。ブラジルから帰化したデコが、微妙にポルトガルのカラーではないこと、プレスはよくかけているが走りまわるサッカーになっていること。走り回るといってもフィーゴやシモンのサイドへの展開はよいのだが、中央を脅かす鋭いパス攻撃は鳴りを潜めているように見えるのだった。前大会に比べるとだいぶ落ちていて、それはゴールデンエイジの黄昏に結びついているようにも思える。
今日はラスト10分くらいになってルイ・コスタがようやく投入され、フィーゴは新世代クリスチアナ・ロナウドに交代させられる。結果的には囮になったヌーノ・ゴメスの影で、ルイ・コスタの絶妙のスルーパス、C・ロナウドのアウトでの絶妙のクロス、そこに飛び込んだ再びルイ・コスタの靴の裏側による押し込みゴールというシーンはあまりにも華麗だった。やはりゴールデン・エイジの中核をなしたルイ・コスタの一瞬のきらめきが見え、そこには四年前のユーロのときのポルトガルの眩いばかりのパスワークが重なるのだ。
その時代が終わろうとしている今だからこそ、今日のポルトガルは負けるわけにはゆかなった。そして競合スペインが、決勝リーグへの進出を阻むために待ち構えている。まったく、なんとも凄まじい状況になったものだ。