シュンの日記なページ

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古い鉱山町

 東北支店で夕方四時までの会議を終える。昼食後一時的に頻脈となり自分の心臓が心配になる。夜になって読んだ『ミスティック・リバー』の中で、デイヴがビールを飲み過ぎ、そのまま起きていたらタイムラグの宿酔いになってしまう、そのときに心臓が肋骨を裏側からばくばくと叩くといった描写があって、ああ、これと同じ現象であったかと回顧することになる。だが、そのときには血圧が上がったのか、と心配していた。昨夜は日本酒やウイスキーオンザロックを遠慮なく呑んでしまったので、遅れてやって来る宿酔いという奴だっただ、きっと。
 仙台に同僚とタクシーで移動してから、一人になり、新幹線に乗って北へ向かう。父と、ぼくの母ではない奥さんとが、古びたパジェロを駅前に停めて待っていた。ぼくは荷物を積み込み運転をして、夕暮れの鉱山町へ向かう。閉鎖された鉱山町にできあがった新しい道路は、あまり使われていなく、山には雪がなくて、気温ばかりがやけに低い。いつもながらの田舎町に辿りつく。
 昔造りの家の中ではファンヒーターが回り、父は心臓を患っていながらも、煙草を吸い、ウイスキーを少しだけ呑んで、茶漬けを食べ、ときどき、この発作で死ぬのではないかと思うほどに激しく噎せて咳き込む。日中は、捨て値で購入したらしい(一万円とか二万円で、だ)近所の廃屋に手を入れているのだそうだ。そういう毎日をこんな寒村で送っている父はふと勘定してみれば82歳になるのか。
 冷えた空気が染み渡る六畳敷きの畳の間で、鼻水に悩みながら本を読んだ。たっぷりと夜の時間があって、ゆったりとくつろぐことのできる、とても静かな夜だった。