シュンの日記なページ

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安易な感動

 先日妻が『砂の器』をLDで見なおしたそうだ。何だか聞き覚えのある音楽が階下で流れているなあ、とは思っていたが、ぼくはぼくで本を読むのに忙しいのだ。息子は息子で漫画を書いたり読んだりするのに忙しいし。
 何故、『砂の器』なぞ見ているのかと聴くと、最近現代版に置き換えた『砂の器』がドラマ化されており、妻もまさか今あの映画版『砂の器』を見て泣くわけがあるまいと思って、何となく見始めると、放浪時代の父子シーンが始まるや否や、まんまと泣いてしまったのだそうだ。わかっているその仕掛けで、まんま泣いてしまう自分が悔しいのだそうだ。ぼくのほうは、あえて逆らうことなく、そういうものに身を任せてしまうのだが。
 その妻は、ちなみに『プロジェクトX』をほぼ絶対に、見ない。あのドキュメンタリーに身を浸してさめざめと泣くのもいいぞお、とぼくは勧のだが、絶対にいやだ、そんなNHKの陰謀に引っかかりたくないと主張する妻。でもお互いに犬好きの本能がせめぎ合ったせいか、今日は日本最初の盲導犬チャンピーの話を見てしまったのである。んで、やっぱし感涙止むにあたわず。まんまと緩んでしまう涙腺。
 できの悪そうな耳の垂れた犬チャンピーの、まるで永島慎二描くところのぶかっこうな犬が何ともかわいくて、たまらないのだ。
 高校時代、夜通し、病魔に泣き叫ぶ愛犬を抱えて、死んでゆくその命を看取った。交通事故で死んでゆく弟を徹夜で看取った救急室の一夜と、あの寒い夜の犬の記憶は、同じくらいぼくにとって重く切ない夜なのだった。命は等分。
 ぼくは見も知らない盲導犬の物語に、安易に感動して、今も涙を滴らせてしまうのである。何だろうな、ほんと。