シュンの日記なページ

当別町スウェーデンヒルズ移住者 ブックレビュー 悪性リンパ腫闘病中 当別オジサンバンドOJB&DUOユニットRIOのVocal&Guitarist ツアーコンダクター 写真 スキー 山 田舎暮らし 薪ストーブ

冬の小樽

 冬の小樽は、湾を取り囲む街であるせいか、風が非常に冷たい。今日は札幌でも最低気温-9度と、非常に冷え込んだ。市営住宅の住宅地は、坂の多い、オタモイの中腹にあって、そこからは小さな半島の景色を見下ろすことができ、今日はそこに雪が濃密に舞っている。老婆がビニール袋をぶら下げて、零下の坂を登って来る。介護保険の仕事に関わるとこういう場所によく来ることになる。三十代の福祉用具専門相談員の女性は、来月でこの仕事を辞めると言う。何故ですか? もうこれ以上は私にはできない。彼女は普通の主婦に戻り、旦那さんに夕食をちゃんと作りたいのだ。雪がただただ舞い、小樽はいつも奇麗な街だな、と思う。彼女の会社は、港に面していたけれど、一年ちょっと前に運河倉庫のならびに越して、見栄えがよくなり、駐車スペースもロードヒーティングになった。昔の事務所は、トイレも凍りついたんですよ。確かに前の事務所は、日本海の風を真っ向から受けて、寒々しかったと思う。見た目も、非常に老朽化して、それはそれで小樽だと、感じたものだった。今のオフィスからは、美しい小樽の湾と、冬のモノトーンの海が見える。素敵な職場だ。でも彼女は小樽中の老人宅を訪れ、そこで仕事の大半を片付ける。小樽を去り、札幌に向かうと雪は降りやんだ。そう、いつも小樽だけが吹雪いているように感じるのは、そこが風の通り道だからだと思う。でもそこに住んで生きてゆく人は、少なくない。不便この上ない坂の多い雪道を、吹雪かれながら登り降りしなくてはならない、生活保護を受けた独居老人たちの姿も決して少なくなんかはない。前職の医療機関関連の仕事でも、ぼくはこのあたりに来ていた。違う目的で。死に対峙する人々が必要とする何かのために。今は、どちらかと言えば、死との戦いではなく、生との戦いに向かい合っている気がする。生は生なりに、死よりもずっと難しい選択だと感じることがある。吹雪で、風が強く吹きすさんでいるなら、それはなおのこと強烈な感覚である。