強運の人
プロジェクトXで泣いた。第一次南極観測隊の物語。副隊長西堀栄三郎は、かつて国語の教科書で読んだ人。その後、ぼくが山屋時代に、京大山岳部五人衆の一人として憧れた人。京大五人衆はそれぞれ山屋として一流でありながら、本職の学術でも名を成した人たちばかりで、凄まじい人生だ、おれたちもそれを目指そうと、大学の仲間たちで語り合った人たちである。
中でも西堀は最初に南極越冬をやらかした日本人のリーダーだった。
今日のプロジェクトXで初めて知ったことだが、西堀は19歳の自分、来日したアインシュタインの通訳を勤め、彼の影響を強く受けたということ。
山屋としてはとても有名な話だが、雪山賛歌の日本語バージョンの作詞もこの西堀であったこと。
そして最後に現地で南極越冬を決意し、南極大陸から砕氷船、宗谷を見送った人でもある。凄いな。強運だけではないかもしれないが、実力に明かに強運の備わった人であったと言っていい。
その人に着いて行った仲間11人。総勢12名の南極の一冬。その頃を思い出して一瞬慟哭に駆られたかつての隊員である老人の姿に打たれて、ぼくも感涙なのであった。困った番組である。