シュンの日記なページ

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あからさま

 ここのところ国内ミステリーの決め球が出ない。秋口に締め切るミステリ大将やランキングが多いので、決め球を夏以降に持ってゆく出版社が増えたとはよく聴くけれど、そんなにまとめて一時的に沢山出されたって、全部が全部読めるわけではない。いい作品は読後一年近くの時間を経過したとしてもより熟成度が高まるはずなのに、版元も作家も印象度ばかりに頼ろうとして秋に勝負をかけようとする。海外小説の場合翻訳のタイムラグもあるし、錆つくほどに古くなっても困るような題材もあるから、年間を通じていいものがコンスタントに出るのだけれど、国産小説の場合は秋口を意識しているのがあまりにもあからさますぎて、その考え自体、卑小でいやになる。
 ぼくも『このミステリーがすごい!』ではささやかながら毎年一票を投じているのだけれども、こんな調子なら、秋口の作品は無視しようかとひねくれた考え方になりそうである。しかし、そのためには、その年のランキングを飾って即座に忘れ去られるものではなく、長期的視点で生き残るタイプの作品を確実に見つけてゆかねばならないだろう。作家たちも是非そうしたスタンスで書いてもらいたいし、投票者の側も信念という足場を固めて、心してかからねばならないだろうと思う。