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チーム内暴力

 鹿島アントラーズの小笠原が試合中にパスをくれずにドリブルで突っかかって失敗したエウレルを両手でどついた映像が、Jリーグ前節のスポーツ報道で目立ったのだが、どちらかと言えば肯定的な印象を持たせる報道が多いのには驚いた。同じ状況で昨年終盤、ウィルがチームメイトの奥をどついて退団に追い込まれ、Jリーグ規律委員会より三試合出場停止を命じられた分の割を今年のウィル移籍先であるコンサドーレ札幌が食らわねばならなかったというのもおかしな話であれば、今回の小笠原を「ここまで燃える男に成長したぞ」というようなニュアンスで賛美する報道が多いのも、どうも腑に落ちない話なのである。
 だってどちらも「自分にパスをよこさないからチャンスを潰した野郎に手を出した」という「切れた」行為であることには代わりない。チームメイトの反応が真反対であることも凄い。ウィルにはマリノスの選手たちがあんなのとやってられないと、一気にちくりモードに走り、小笠原にはチームメイトみんなの気持ちを代弁したというような報道が彼をひたすら持ち上げている。
 先日読んだ『ボトムズ』では、黒人が殺されたなら犯人がだれであろうが事件にもならない、白人が殺されたのであれば黒人の誰かをとにかく血祭りに挙げずには気が済まない、というディープ・サウスの人種差別が印象に残った。これと報道の不公平さを同一に語ってしまうのはちょっと大袈裟なのかもしれないが、今の世の中の声が揃って無反省で無自覚で画一的なところは、やはり似たりよったりのことである気がする。
 浦和レッズではエメルソンが絶好の機会にもパスを出さずに得点を逸するのは有名だし、いつもあの野郎とののしりつつ、ぼくも試合を見ている。よく問題にされはいるのだが、選手間暴力に発達するという気配はレッズにはまるでない。エメルソンには前節のように持ち込んで一人で決めてしまう実力もあるのでチームメイトもあまり怒りをあらわにすることができないようだ。
 一方でブラジルの名選手であるエウレルが最近は不調だったらしい。浦和戦では凄いゴールを決めたくせに、こんな失敗くらいでど突かれてしまうのかと思う。でもそれが鹿島というチームに漲る緊張感であるのだとすれば、浦和にもある意味見習わねばならない過激度のようなものが、あちらにはあるのかもしれない。日本報道陣は公平さにおいては間違ってはいるかもしれないが、鹿島の凄味を語るには格好の材料と捉えたのかもしれない。そう考えると浦和レッズ・サポとしてはちょっと心穏やかではない。
 なお、この試合、エウレルは途中交代させられたものの、試合後にトニオ・セレーゾ監督は小笠原に暴力行為はいけないと厳しく叱ったそうだ。まともな監督だなと思う。やはりおかしな反応をしてしまったのは結局のところマスコミであったのだと思う。