シュンの日記なページ

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読書報告

 石狩市民図書館から借りているイーサン・コーエン『エデンの門』読了。無頼派作家チャールズ・ブコウスキーに似たタッチの奇妙な短編群。年齢も境遇も風貌もまるで違うアメリカ人が、一種の疎外感のようなところで繋がっているところが興味深い。アメリカ在住のユダヤ人の独自の世界が伝わってくるのだけれど、それ以上にさすがに脚本家の小説だというイメージがやはり強い。会話体での表現力が抜きん出ているのだ。ただ本全体のジャンル分けは到底不可能で、あるものはノワール、あるものは喜劇、あるものは私小説、あるものは純文学、あるものはエッセイ、あるものは狂気めいた幻想文学。最後の部分がひょとすると一番多かったかもしれない。そう言えば『バートン・フィンク』では主人公がハリウッドで出くわす人々がみんなこんな具合にいかれていたっけ、と思い返しながら、キャラたちの独特な個性と存在感のハード・カクテル味わってしまった。
 続いて、昨年の『グルーム』でど肝を抜いたフランスのノワール作家ジャン・ヴォートランの『パパはビリー・ズ・キックを捕まえられない』に取り組み始める。のっけから『グルーム』そっくりの主人公に、やっぱりというか案の定というかど肝を抜かれる。その後のスピーディかつ大胆にして予測不能な展開が凄まじい。
 今日はアマゾン・コムからジム・トンプスン『深夜のベルボーイ』が届いたのですぐにでも読みたいのだけれど……それにオージー・ミステリーも読みたいし……パルプ・ノワールも……と読書されたい本がぼくの部屋では順番待ちをして太鼓を叩きながら行列を作っている次第。