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<ミスターレッズ>の称号

 日本対ウルグアイ戦の放送中、実況アナウンサーが言った。
 「ピッチサイドには<元ミスターレッズ>の福田さんに着ていただいています」。
 その<元ミスターレッズ>という言葉にぼくはひどく抵抗を感じてしまった。福田正博は、ぼくの感覚によれば今もなお<ミスターレッズ>であるからだ。
 彼は決して<元ミスターレッズ>ではないと思う。では長島茂雄は<元ミスタージャイアンツ>だろうか? 「元」と言う人がいるだろうか? 
 <ミスター>の称号を、ぼくは永久欠番のようなものと思っている。<ミスター>であり<大将>であった福田正博は、現役を引退した今もなお、その称号については<元>を冠されて呼ばれるべき存在ではないだろう。おそらくそれはレッズ・サポーターに共通する感覚だと思うし、<ミスターレッズ>自身もそう感じているのではないだろうか。
 彼がチームに賭けてきたこと、やってきたこと、チームと彼の歴史、サポーターと彼を結んでいた強い絆、心の底からのレッズへ愛着。あれらすべての一体感が、昨年の引退会見において彼の涙とともに明白にされたのだ。現役時代には特にそうした関わりを多用しようともせず、そっけなかったほどにサッカーそのものに打ち込んでいた福田という人が、選手でなくなることを決めて本心を明かしたときの涙を、ぼくらはなぜかとっくに知っていたように思えたし、それらの深い感情を忘れることもできないだろう。
 今日の代表試合を中継したは横浜Fマリノス系を標榜してきたテレビ局である。それでありながら、一つのチームで<ミスター>と呼ばれてきた選手とチームとの関わりかたについて、実況アナにさえ理解されていないという現実。日本のサッカー、あるいはクラブチームの歴史なんて、まだまだこんなものなのかという落胆。言葉があまりにも安易であっただけに、けっこうきつい一発だった。