ノスタル東京

　セミナー最終日なので、昼休みに今まで以上に足を伸ばして散歩してみたら、浅草橋の交差点に出た。
　浪人時代に長期バイトで一年お世話になった会社は日本橋横山町の大きなビルだったのだが、どうも見つからない。浅草橋からどう行くんだったかな？　と考えているうちに時間切れ。
　今度ゆっくりまたこの辺りに来て歩き回ることにしよう。

みますや

　何年ぶりだろうか。
　前々職の時代に北海道から月一度の会議に出ると、何ヶ月かに一回は東銀座のホテルが取れず、神田に宿泊することになったのだが、そういう際、この店に足を運んだものだった。いろいろな宴会の後だったから閉店間際で品揃えも覚束なくなる時間帯でしかなかったけれど。
　今週月曜日から始まった研修を終え、小さな資格証を得て、その足で久々の神田である、妻は今夜は会社の宴会だそうだし、みますやに足を運ばない手はない。
　夜は少し小雨交じりだ。
　独りでも、というか、独りでだからこそすんなり座る場所を作ってもらえた。穴子と〆鯖を頼むが、〆鯖は切れていたので、コハダに替えてもらう。田酒を飲みながら、同じく独りでしか来ないという隣客と情報交換に近い話をして、最後にさくら刺しを啄いてから外に出る頃には、冷たい霧雨はやんでいた。
＜ちどり＞
　みますやを出たあと、目の前に淡路町の駅があったので、二駅乗って、本郷のちどりへ寄ることにした。一年ぶり以上。かつて本郷で仕事をしていた頃は週に三回くらい行っていた店である。
　客はいなかったので、ゆっくりマスターに激動の２０１２年について報告する。その後、YouTubeのぼくのライブ曲などを見ているうちに、終電が近づいてきたので、上野まで歩き、真夜中を回った時刻の電車に飛び乗る。何だか懐かしい昭和の夜が終わった、ちょっぴり寂しさみたいなものを胸に抱き込んで……。