海を見にゆく
札幌時代は、心を休めによく海に出かけた。さいたまからとなると、結構なドライブと決断が必要だ。
浜頓別から枝幸に向かう間の千畳岩を思い出す。あちらはほぼ無人の、よほどの通にしか知られていない、ほとんど名ばかりの観光地だけど。
寿都あたりの日本海べりの漁港を思い出させる。磯の香がぷうんと漂う。
小樽祝津の番屋灯台下あたりの洗濯板のような岩を思わせる。思えばあちらでは崖からの身投げに出食わしたっけな。
海水がきれいだ。これも小樽水族館あたりを思わせる。
人影や沖の帆で海辺はにぎやかだ。ひそやかな北の海とは大違いだ。
それでも、海風に当たるだけで気持ちが革命的に変わってゆく。やすらいでゆく。
久々に望遠レンズつき一眼レフが活躍し、船影を照準に捉える。
最後に振り返り、海にさよならを告げる。
現在の生活では、海は、異様に遠い。