満月の夜
満月の下、夜景が映える。スカイツリーに灯が入る前日の、暗い空、そこにかかる中天の月とを眺めに東京下町を歩く。
車を止めてトイレを借りようと不忍池に立ち寄ると、カメラを向ける人が数人。なるほど、そこには思いもかけぬ光景が。
満月と湖に移るわずかな照明が、幻想的な世界を創り出していたのだ。
「浅草一丁目一番地一号」を標榜する神谷バーは、こんな風にライトアップされていた。
昔、一回だけデンキブランを飲みに行ったっけな。
でも川向こうにあるアサヒビアホールの方が楽しかった。その当時は東京で第一号のビアホールとして味のある古い工場跡地だったのだが、今ではその影もなく、奇妙なオブジェが話題になるばかりだ。ちぇっ。古くてよいものは守られていないよなあ。
隅田川越しにアサヒビールの奇妙なモニュメント。その向こうの巨大マンションがなければ、屋上に差し掛かっている満月が見事なのに。
東京では夜空の鑑賞権さえも人為的に簒奪されている。
明日のスカイツリー点灯後は満月さえも視野から駆逐されてしまうのだろうか。