北海道への焦がれ
北海道へ渡る日が近い。どきどきする。
心情だけで言えば、どうしてもぼくは北海道とさよならすることができない。
北海道は、息子の成長そのもの。息子と作ってきた思い出そのもの。
自分の意志で移住を決意した30歳の夏。
移住が叶った40歳の冬。
北海道を離れることになった50代。
北海道に戻ることができない状況を抱えてはいるものの、必ず戻ろうと思い今を生きる現在。
札幌の我が家に帰ると必ず立ち寄る場所が石狩浜のハマナスの丘公園。公園といっても、ただの海岸砂丘だ。ハマナスの咲く頃にはきらびやかになり、冬には雪が吹き寄せる荒びた大地となる。
三日後にはぼくはここに立っていることだろう。いくつもの思い出を胸に。
大みそかには必ず息子と石狩浜に立つ番屋の湯につかる。日本海の風に吹かれて、砂浜の方向に向かって、お湯の中から心が叫びをあげよう。
海が近くにある生活。海がいつでもそこで呼んでくれる。何か、あるときには、海にでかけて、ひっそりとした時間を費やす。
ジャン・アルチュール・ランボオのように永遠を夢見て。