シュンの日記なページ

当別町スウェーデンヒルズ移住者 ブックレビュー 悪性リンパ腫闘病中 当別オジサンバンドOJB&DUOユニットRIOのVocal&Guitarist ツアーコンダクター 写真 スキー 山 田舎暮らし 薪ストーブ

戦争を伝える

 例によって終戦の日なので、この前後は戦争関連のTV番組が多くなる。

歸國

歸國

 昨日録画しておいたドラマ『歸国』を見た。冬に富良野塾から富良野演劇工房での公演案内が来ていた時に珍しい題材なので興味を抱いたのだが、今日見たそれは、演劇脚本からドラマ・シナリオへの移行がスムースにできていず、どうもギクシャクした印象があった。これでは検閲係や音楽家・画家学生・大学野球の選手など軸とした戦争の悲惨はあまり伝わらず、むしろ老兵タケシを軸とした現代人批判のほうが主題かと思われ、テーマが分散したことでパワーが半減し、集中力が保てなくなっている。正直、がっかりした。俳優を贅沢に使いすぎている印象ばかりが残る。
 一方で『池上彰の戦争を考える』という番組は池上元キャスターという希代の語り部を通して、若い世代にも明快に戦争のもたらす様々な問題を伝えているように感じた。最近の戦地でもあるボスニア・ヘルツェゴビナまで足を延ばし戦没者遺族の引きずる悲劇を浮き彫りにしたり、戦争が庶民に課す犠牲の大きさから、戦争は誰のもの? という課題が見えて来る。
 とりわけ祝勝に沸く満州国建立の経緯に関しては今の若い日本人に上手に伝わったのではないかと思う。
 残念なのはドラマや映画がこうしたバラエティ番組の伝達力を越えられないでいることで、その意味では小説家たちには頑張ってもらいたいなと思う。
 かつての早乙女勝元の戦争小説、五味川純平の大河小説、浅田次郎の『中原の虹』、船戸与一の『満州国演議』シリーズなどが一人でも多くの人に読まれることを希う。