終わらざる夏
夜明けとともに小樽に接岸。日本海に映える朝の陽光を楽しみながらゆっくりと札幌に走る。
なか卯にていつもの納豆定食を食べてから、早朝の帰宅。一旦朝寝を楽しみ、昼飯を食べる頃になって、財布がないことに気づく。なか卯に走ると、店員のローテーションは変わっていたが、朝5時半に座った席を確認すると、カウンター下の小物置き場に、何と財布がそのまま残っていた。奇跡的だと嬉しがる。
浅田次郎『終わらざる夏』読了。ポツダム宣言を受託しているのに聞こえない振りをしてまで軍事的要衝である北千島の占領に乗り出したスターリンの冷徹さと、その後太平洋を挟んで睨み合う世界構図となる冷戦のスタートである。そんな地図の塗り替えの時期を、それぞれの個人史の観点から小説でしかなしえない表現で描いた終戦の後も決して終わらなかった戦争の記録。
個人的にはシベリアの強制収容所で戦後二年をなお囚われの身であった亡き父のことを何遍も思い出しながら、終戦前夜の無茶な徴兵、空襲で焼き払われた東京(こちらは母が体験した東京大空襲だ)などの描写に息を飲んでいた。
生きる力強さと戦争の悲惨と残酷さとを地を這うような眼差しで見つめた大作である。
- 作者: 浅田次郎
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