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火事場見物

 昨夜というか、未明、というか、ま、夜明け前だな、大沢在昌『罪深き海辺』読了。

 罪深き海辺

 二つの勢力が対立する地方の閉ざされた町に不意に現われる流れ者。彼が現われた時にすべてが動き出す。そういう設定ときたら、黒沢明監督『用心棒』であり、ハメットの『赤い収穫(血の収穫)』であり、もちろんクリント・イーストウッドを一躍世界的スターにしたセルジオ・レオーネの黒沢作品リメイク『荒野の用心棒』であったのだ。そんな世界に、作家なら誰もが挑みたいのかもしれない。かつて船戸与一が『山猫の夏』で挑んだように、冒険小説の最早大家と言っていいだろう、大沢が挑んだのである。
 日本の田舎町ならではの空気が濃厚に出ているが、ちと複雑に絡み合うストーリーを追いすぎたのか、この人の欠点である旅情とか叙情というものの欠如がやはり目立つ感じがした。シミタツあたりがこれを書いてしまうと凄みが出るのだろうけれど、天はそう簡単に作家たちにもニ物を与えない。

 ちなみにイーストウッドと言えば、彼の監督作品『チェンジリング』を昨日WOWOWで見た。

 チェンジリング [DVD]

 イーストウッドならではの重厚な映像と質感、そして1928年代のロス市警、そういった世界を武器に、子を失った独りの母親としてアンジェリーナ・ジョリーが闘う。いろいろとくだらない映画に出ることが多いジョリーだが、この映画は彼女の映画人生において記念碑的作品になるのだろうな。これを転機に、少なくとも旦那のブラピくらいにはいい映画に恵まれるといいと思う。

 さて、ようやく今日の話。今日は火事場見物に出かけたのだ。日曜日の朝大火事が起こった西新橋の木造雑居ビル地帯。少し前には耳かきサービス勤務の母娘が常連客に殺害された事件がこの辺りで起こり、そこはそのまま空き家になっていたが、昨日の火事で燃えた。ぼくのランチ得意先である「まるきん」も焼けてしまった。先週金曜、名物の巨大メンチカツ定食(550円)を何故だか食べなきゃ、と思って足を運んだのも虫の知らせだったのかもしれない。

 どの店も一階の店先は焼け残っているが、二階は全滅状態のように見えた。救急車と消防車が二十四時間以上を経過した今も道路を遮断しており、CSIによく出てくる黄色いテープがあたりに張り巡らされている。放火の疑いもあるようだから、鑑識という奴なのかもしれない。

 

 

 実は火事であることを忘れ、「まるきん」方面に足を踏み出したのだ。でも朝刊で写真を見たのだ。消防車の水圧をもろに受けているマルキンの写真を。近づけば近づくほど、そこは火災の中心であった。交通が制限されているために昼飯時ただでさえ賑わうこの界隈で人と人とがすれ違えなくなるほどに、雑踏は混然としてきていたのだった。