牡蠣を食べに
牡蠣を食べに、今度こそと『漁』に寄る。水槽にたっぷり溜まった能登の牡蠣を見つめ、涎を流す。生と焼きで二つずつ、ぺろり。日本酒は三種類ほど、青森と新潟と土佐の酒。独りで入ったが、客が絞られ、店も閉じようとする頃、残った客たちでなぜか盛り上がった。日付変更線を超えた未明の闇の中に出てゆく男女三人の客がそれぞれ違った方向に散り散りになる。
長谷川きよしと加藤登紀子のライブで歌われた南米の歌、『愛するペルーサ』を思い出した。
宴は、いつかは終わり
酒場の扉は開く
街の中、ひとりひとり
歩いてゆくさよなら可愛いあなた
後ろ姿、さびしく揺れる
街の中、ひとりひとり
歩いてゆく夜明けの青さ、風の冷たさ
あの日の胸のぬくもり
街の中、ひとりひとり
歩いてゆく