希薄なるセピアへ
札幌を離れる日は小雨模様。朝方、傘を差してクリニックに行き、その後昼まで家の中で本を読む。
妻の仕事の合間に麻生に送ってもらい、一気堂のマッサージを受けてそのまま空港バスに乗り込むという算段。
札幌ラーメンを一度くらい食べて帰りたい、と、麻生のがんてつというラーメン屋に入る。クリーミーなとんこつ味でこってりした味噌ラーメンだ。スープもまあまあだけれど、麺が美味しい。
空を渡り、黄昏のセピアに染まるなか、舞い降りた羽田は、雨の気配がなく、ほっとさせられると同時に、札幌にはあったあの現実感がどこか希薄で、いかにも東京らしい。
平日の通勤ラッシュに揉まれてさいたまに帰りつく。家の中に一週間分の熱がこもり、ドアを開けて、風を通した。
マイクル・コナリー『リンカーン弁護士』読了。コナリーのリーガルに徹した斬新さに、いつもながらのストーリーテリングが重なってやっぱり面白い。チャレンジ精神旺盛な売れっ子作家である。