クリスマス・ソングズ&ムックリの調べ
TSUTAYAネットで借りたばかりのサラ・マクラクラン『ウィンター・ソング』がi-Pod容量オーバーで入りきらない。少し前に同じくTSUTAYAで借りた『萩原健一アンドレ・マルロー・ライブ』の二枚組みが利いたのかな。
でも何曲かは録音されたので、朝、電車を降りると(電車の中では基本的に聴かない、本を読むから)イヤフォンを耳に差し込み、朝の陽射しのせいで若干清潔に感じられる(幻だけど)東京のど真ん中を歩き始める。何と、サラの音楽は、名の通りウィンター・ソングだった。まだまだ汗ばむ陽気の9月の朝、脳内に響き渡るクリスマス・ソングスの数々が、何だか楽しかった。
ちなみに2曲目に入っている曲がどこかで聴いたような……この異常なコード・チェンジの盛り上がり方は……と思ってポケットからi-Phonを取り出し、液晶を見る。お、やっぱり『グリーン・スリーヴス』なのか。それにしても極度のアレンジ。それでも隠し切れない名曲ならではのコードの流れ。
『ザ・バンド ラスト・ワルツ』というマーティン・スコセッシの映画……あの名監督がぼくの長年愛したバンドの解散ドキュメンタリーを撮った映画だ……のラスト・クレジットで印象的に流れるのが『グリーン・スリーヴス』だ。そんな想いを胸に、歩く。
そう言えば数日前には、駅前で森山良子の『神威岬』がかかったのだが、これはサビの部分で一瞬鳥肌が立った。汚らしい駅の階段を下りながら、積丹半島神威岬の突端に至る遊歩道の段々を強風に耐え、恐る恐る歩いた20年前の夏を想い出したのだ。いつまでもアイヌたちの楽器ムックリが鳴り響く印象的な曲だ。室蘭の祝津に特別養護老人ホームができたときの開設パーティで、土産に頂いたシングルCDである。