キリン用の胃カメラ

　二日前くらいから背中の中央上部に大きなできものができてしまい、膨らんで赤くなって、身を横たえるととても痛いので、横臥姿勢での睡眠を余儀なくされる。そのせいか、とても寝苦しい。夜中には寒さを感じ、窓を閉め、毛布を出してくるまって寝た。夜明けには今度は寝汗を掻き、毛布を蹴り出した。
　朝には容赦なく目覚ましが鳴る。配管掃除が来るから早めに起きて、布団をクローゼットに投げ込み、掃除機をかける。朝ごはんをしっかり味噌汁から作り、食べる。美味い。
　その後、ちょうどいい頃合に配管清掃係がやってきて、台所と洗面台と浴室の配管のなかに、キリン用の胃カメラみたいなものを突っ込んでずずずずと何か妙な音を出している。気持ちのいい仕事じゃなさそうだと思え、担当者をとても気の毒に思ってしまう。
　15分くらいで彼の仕事は終わり、ぼくは掃除を続ける。洗い物も。
　それからプリンタ出力によってDVDが何であるのかを明確にするため、地道な作業をPCで行う。窓を開け、その向うは無風で、公共放送が光化学スモッグの発生をアナウンスしているのを聞いて、これも北海道に行く前の昔を思い出させることの一つだなと、13年ぶりの上空の異変に眉をひそめてみせる。
　もちろん即座に作業を中断し、ヤマダデンキに走り、昨日買わずに去った場所に戻り、小型扇風機1900円なりを買ってきたのだった。少なくともデスクの上にこれがあって一応風らしきものを首を振り振り送ってくれるというのは有難いものだ。
　インクのブラックだけが先になくなった。ブラック貴重のDVDが多いのかな、と奇妙なことを考えたが、布団を敷いて今度は本当に眠った。PCにはノートンのメンテナンスをかけてスピードが少しでも上がればと祈りながら。
　夕方、おかずを買出しに行く。いいラム肉があったので、今日はソラチのたれでジンギスカンだ。野菜は、モヤシ、玉ねぎ、ピーマンだけに抑え、その代わりビールをたっぷりと呑む。肉は300kg以上を食べてしまった。その上、朝のご飯の残りを納豆でふたたび掻き込む。
　昨日ほどは忙しくはないが、札幌にいたときみたいにぐうたら過ごせないのが単身赴任の厄介なところである。