霧の航海
えー、もう?
と息子。今朝早く帰ってしまうので、残念がっているのだ。
妻に小樽のフェリー乗場までekワゴンで送ってもらう。往きをぼくが運転し、念入りに道を教え、帰りは単独で引き返してもらう。石狩から銭函に向う新港沿いの道路から国道5号に出て、最後は小樽で海沿いにマリーナに向う道路で、とてもわかりやすい。
パジェロを置いたまま身一つで乗船し、朝からクラシックビールの350ml缶を二本呑みながら本を読む。最近は耳にiPodのイヤフォンを突っ込んで音楽を聴きながら本を読むようになった。音を聴くというよりも、周囲の騒音を遮断すると、読書のはかが行くのだ。
すぐに昼時になってしまい、さすがに食事中はイヤフォンは外して、しかし本は広げて、生ビールのジョッキを傾ける。イカ刺、モツ煮込、酢豚、ミニチャーハン。
さすがに酔いが来て、二等寝台に飛び込み、午睡を貪る。
夕刻また起きてきて、残りのページを読む。花村萬月『少年曲馬団』読了。ジーンとくる余韻。いいなあ。
さらにベルンハルト・シュリンクの『帰郷者』に取りかかる。外は曇っていて、船窓から見つめる海は霧で暗く、少しも面白くないのだ。
夕食時は、今度は本は読まず、生ビールにトンカツ、ライス、野菜サラダ、タコ刺。清水-千葉戦をBSでやっていたからテレビの前に陣取り、永井雄一郎が千葉の前に成すすべもなく交代させられる無様な光景にほくそ笑んでしまう。しかし残り10分程度で追いつかれるなんて、千葉、情けない。永井交代の後だからよいけれど。
消灯時刻を過ぎてもロビーのソファに腰をかけて、本を読んだ。寝台は暑いのだ。寝苦しい。ガラナを呑んだら、夜中に何度もトイレに起きてしまった。駄目だなあ。計算のできない人間なんです。