死を悼むだけの小説なのだが
ようやく天童荒太『悼む人』読了。ミステリーでもなければ純文学でもないけれど、人の死というものをこういう切り口で語り、そのことで一人一人の命や人生の重要さを改めさせるという表現方法には、どきりとさせられるものがある。無駄のないぎっしり活字が詰まった本なので読みにくいかもしれないが、著者が7年も費やして書いたというだけの重さが、詰まっていることは確か。
ぼくは直木賞に相応しいいい小説だと思う。いろいろな人の意見を聴いてみたい気がする。この本を題材に酒を呑みながらたっぷりと話をしたい気もする。自分の姿勢や表情を少し変えてしまうほど影響力のある本であるかもしれない。
そう言えば久しぶりに作家・香納諒一さんと連絡ができるようになり、少し嬉しい。昨年は沢山本を出したのに『スキップ』しか読んでいないので、しっかりと買ってある作品を読まねば。最近の読書ペースの遅さはいかんと思いながら、埼玉転勤後の新生活にまだゆとりが出ないでいるのだろう。何とか改善せねば!