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アゲイン

crimewave2008-12-23

 ちあきなおみのアゲインが手に入らなくてやきもきする。
 アゲインという曲は、映画『時代屋の女房』の主題歌である。

 迷いながら愛を口ずさめた痛い日々でも足を運びたくて……もいちど

 んな古臭い歌詞であるが、『時代屋の女房』の故・夏目雅子の汚れ役みたいな演技は、瞼の裏で未だに眩しい。この映画を観た当時はすっと通り過ぎたのに、その後何度も何度もこの映画を観るうちに、作品の深さを思い知るようになった。人と人との距離、というようなものを埋め合わせるために必要なものを、この映画は何度も考えさせてくれる。

 映画とともに右脳に訴えてくれるのが主題歌の「アゲイン」なのだ。しかし、この曲は、ちあきなおみの代表曲ではなく、さまざまな彼女のアルバムにも、後に編纂されたベストアルバムにも入っていない。

 そしてようやく探り当てた。今、姿を見ることのないちあきなおみという、歌唱力いのちの自立した歌手は、ものすごく大量のレコードを出しており、これは後にリミックスされ、やはり大量にCD化されている。そんな中に一枚だけ「アゲイン」を収録したアルバムが存在した。「NEW BEST ONE」。地味なベスト・アルバムである。ちあきなおみが売れていた時代のベストではなく、あくまでもその後のNEW BESTであるということがポイントであったみたいだ。

 探し終える頃には夜中になっていた。他のすべての収録曲は聴いたこともない。アゲイン一曲のために時間を費やしても、惜しくない。ずっとずっとこだわり続けている映画、人生の長い時間においてずっとずっと耳に響き、いつも涙腺を刺激する曲である。なぜそのような凄みのある曲が、世界の片隅でようやく掘り起こすことのできる場所に埋もれているのか、その理由だけは理解しかねるのだけれど。