本への出資
昼休みに事務所を出て、車のなかに閉じこもり、昨夜読み残した誉田哲也『ヒトリシズカ』を読み終えた。悪女もの、というのが相応しい連作短編集。悪女は、常に悲劇的存在なのである。
ロバート・B・パーカー、11月の新作は、ハードボイルドではなく、青春小説である。『われらがアウルズ』。
そう言えばジョン・グリシャムの先月の新作も青春スポーツ小説であったな。『奇跡のタッチダウン 報酬はピッツァとワインで』。大きな活字で上下本だったので、費用を惜しんでしまった。図書館に予約するつもり。
数日前に柏櫓舎より、「太宰治選集」出資募集要項というものが届いた。
「太宰治選集」。生誕百年記念出版。2009年3月配本予定の全三巻上製本。価格はセットで税込み15,000円。
出資額は一口10,000円より。募集総額は15,000,000円。割戻し率は、販売セット数が1000セット以下であれば3%。5001セット以上であれば10%。言わば本への投資である。弱小出版社によるお願いダイレクトメールであったのだ。
かの名翻訳家山本光伸社長が札幌から発信する出版の風を応援するぼくは、この柏櫓舎をサポートする「わっしょい倶楽部」に入っているのだ。いい本をいっぱい出していると思う。ぼくはイタリア・ミステリ・シリーズと、デイヴィッド・リンジーの最近作ではこの出版社を頼りにしている。
花村萬月絶賛の風間健介写真集『夕張』や、東直己の『ススキノ・ハードボイルド・ナイト』を出した寿郎社と言い、札幌の小さな出版社はとても頑張っているのだ。
しかし太宰治選集とは意外だった。現在なら小林多喜二の方がブームに乗ると思うのだが。もっとも太宰は天才だとぼくは思っているから、今改めてこの作家の全集が札幌から、と言うのはやはり嬉しい。全集を買おうかと思ったけれども、ぼくは全作読んでしまっているんだよなあ。
そしてお金がないので出資はできません。文化活動への出資は、小遣いの少ないぼくには、本の購入くらいしかできないのです。ぐすん。