アポカリプト
メル・ギブソンの監督映画をしっかり見たことは今までない。深夜TVでやっていた『ブレイブハート』を途中まで見て、面白かったのだが眠くなって途中でやめてしまった。ソフィー・マルソーのファンなのでもっとちゃんと見たいと常々思っているのだが、まだ実現していない。
その意味では、この映画『アポカリプト』は、やはり『ブレイブハート』に似た雰囲気だと感じてしまう。とにかく群集映画であること。戦闘バイオレンスシーン、それも極めてプリミティブな。マヤ文明後期という解説を読まなければ、何の映画なのか、すぐにはわからない。
言葉少なな先住民族同士たちの森の中の争い、と神話的な世界での暴力の凄まじさを見ていると、何だか、ピエル・パオロ・パゾリーニという70年代イタリアで鬼才と呼ばれた監督を思い出す。『アポロンの地獄』『豚小屋』『ソドムの市』など、いにしえの時代のプリミティブな信仰世界と、呪術的運命に操られてゆく個の話が、強烈であった。
メル・ギブソンという人がますますわからなくなる映画であったが、映画そのものは緊張感に溢れ、とても面白い。監督としてはけっこういいんじゃないだろうか。原案としては、いろいろ理解し難いところがあるのだけれど。