シュンの日記なページ

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道具たちの記憶

crimewave2008-05-11

 北海道新聞の今朝のコラムに、鍋にさようなら、というようなものが記載されていた。コラムニスト(女性・35歳)は、鍋の柄が壊れたのでとうとう買い換えなければならなくなったのだが、この鍋にはとても思い出がいっぱい詰まっているという。父と母が離婚して、娘は母と一緒に家を出、そのとき鍋も一緒に家を出たのだという。高校時代、始発バスが早いため、コラムニストは一番に起きて毎朝この鍋に味噌汁を用意したのだという。だから、鍋が資源ごみとして捨てられ、何かに再生されたときに、また逢えたらいいね、という言葉で締め括られている。
 話変わって、ぼくはゴルフ生活を改善するために、石狩にある太平洋アソシエイツ札幌コースというゴルフ場の年次会員になった。しかし公式月例会に出るのには2008年1月よりスタートした新ルールとして高反発クラブは不適合となったのだ。ぼくは自分のクラブがその高反発クラブだろうと予想し、買い替えなければと覚悟して、今日、ゴルフ5に出かけ、クラフト・マンにドライバーを見せ確認してもらった。TaylorMade r5 Dualには適合と不適合と2種あり、ぼくのクラブは不適合であるとの説明だった。ということは、これは公式競技には使えないのだ。
 項垂れたぼくはこのクラブを中古で下取りしてもらうとどのくらいになるか確認してもらったのだが、写真の通り、黄色の樹脂部分に本来あるはずのブランドマークの入ったカバーが外れてしまっているので、これは引き取れませんとの冷たい回答であった。
 こうして店を後にして、家に帰り、新聞を読んだら、このような鍋への愛着を表現するコラムが目に止まったのである。正直クラブを引き取れないと言われ、もう一度自分の手に握り締めた時、ほっとしたものがあった。
 たかだか3年程度のクラブで、鍋の話には及ばないが、道具がその使用者にとって生きたものである。まるで人格を与えられているかのように愛用され、いくつもの記憶を共有するものである。
 冬の穂高岳合宿のとき、西穂山荘前にキャンプし、暴風雪にやられ、テントを撤収したのだが、豪雪によってぼくは愛用のピッケルの位置を失った。初心者の頃からずっとぼくの山を支えてきてくれた岳友とも言える大切なスチュバイのピッケルだった。みんなで探してくれたのだが、積雪深く埋もれたピッケルは結局見つかることがなかった。覚悟を決めた時には、涙が出そうになった。道具には人間が勝手に吹き込んだ命が宿るのである。