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遺作について

 打海文三『ドリーミング・オブ・ホーム&マザー』を読了。こうなるともう純文学の領域である。バイオレンスとエロティシズムに満ちた純文学、と言うと大江健三郎みたいだが、大江健三郎の方はエロティシズムではなくセックスという即物的な行為であり、空気ではない。打海文学は、即物ではなく、哲学であり、官能であり、気配である。何よりも女たちの強さと厳しさ。とにかく、これで打海作品は作者急逝により打ち止め。未完のシリーズ第三作が3/4くらい書かれているそうなので、未完でもいいから読みたいのだが。

 ドリーミング・オブ・ホーム&マザー

 亡くなった作家の遺作を読むのは、昨年の藤原伊織に続いてのことである。ロス・トーマスのときも、エド・マクベインのときもそうだったけれど、未訳の原作が存在するということでは海外小説は少し違う。日本作家は、本当になけなしの作品まで世に出てしまうので、本当にこれ以上なし、という最後の本になってしまうことがある。当然のことながら、いつもいつも悔しさに歯噛みする想いである。