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映画女優

 『明日の記憶』を予告編で見て以来、渡辺謙樋口可南子の演技が見たくって仕方がなかった。とりわけ樋口可南子は銀幕で見てきた女優だ。いまどき珍しいほどの映画女優らしき女優だ。先だって見た勝新版『座頭市』の樋口可南子の色っぽさといったらなかった。『北斎漫画』もそうだったが、この女優ほど和服を着て色香を漂わせる人は他に知らない。そこらのTVドラマにほいほいと出ない代わりに、銀幕ではいつも大仕事をする。
 『明日の記憶』は彼女の演技力無しには成り立たない映画だったろう。渡辺謙も世界に通じる演技者として認められるのがよくわかる。表情の演技で見せる。しかし、セリフではなく内に秘めた思いを静かな演技で表現してしまう樋口可南子に、今夜は何度泣かされたろうか。鬼気迫る演技により成り立った名作であると思う。
 この映画の題材は若年性アルツハイマー病だ。都市に始まり山の中で終る映画だ。認知症を扱った映画『殯の森』と同じく、脳が壊れてゆく心象風景は深い緑の森、というところで共通する日本人のイメージなのかもしれない。森は癒しの風景でもある。脳の滅びは癒し……か。

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