近くて遠い雪まつり

　雪まつり会場をささっと通り過ぎる。仕事中だし、東京本社から来た上司も乗せていることだし、本当にささっとだ。
　そう言えば、札幌に転勤したのが1月の終わりだからすぐに雪祭りとなり、ぼくはそこを勝手もわからずに通り過ぎ、ああこれが雪まつりか、などと、意外に小さく見えた雪像を見上げて、無関心に通り過ぎたものだった。雪像をゆっくり見たのは、すすきので呑んだ後、氷祭り会場を後にして、やはり西日本の客人と寒い夜の大通り公園を歩いたののが初めてのことだった。夜はライトアップされてことのほか綺麗だ。昼間は、何のことはない。ただただせわしなさに満ちているように見える。
　それはきっとこちらの気持ちに余裕がないせいなのだろうな。昼間の雪像は補修をしたりしているけれど、それもまた見ればきっと楽しいに違いない。