シュンの日記なページ

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鈍感なる小樽

 小樽市内を営業回りしていると、仙台の同僚より電話があり、いいなあ、小樽ですか、いいなあ、としきりに羨ましがられる。

 小樽は観光を表に出した外行きの顔と、高齢化が進む貧しく古い街といった本当の顔を持っている。もっぱら観光で稼ぐという意識は小樽市が丸ごと持っているもので、富良野のように観光ではテレビドラマ期間中しか稼げないから、しっかり農作物の収穫を、といった堅実なところがあまり見られない。

 今日は昼飯を食べに港の市場に出かけたのだけれど、三軒並んだ食堂を迷っているとおばちゃんが出てきて、手にはメニューを持ち、ランチもやってますよと客引きを始める。何だかなあ、定食屋さんでこんなことまでやるかあ? って疑問のなかで、この店に行き掛かり上、入ってしまったが、まあホッケ定食の美味しかったこと。

 店主夫婦の仲がいいんだかわるいんだか、業務連絡でもいちいち双方つっかかって客を気にしていないっていうのがひかっかった。旦那がひどくえばっていて奥さんらしき人に非常に冷たい口調で文句を言うのだが、これでは世の女性客は二度とこの店の敷居を跨がないだろうな、ということには気づきもしない鈍感がどうも嫌だ。

 TV取材の申し込みの電話が入り、奥さんが受けているのだが、うちは狭いですよとか、今はあまり美味しいものがない、とか答えているので、なんだか営業やる気がないのかなあ、ホッケだって、こんなに美味しいし、八角の刺身だだって、マダチだって、焼きタラバだってあるのに、それらの価値を当の経営者夫人がわかっていないというのはどうだろうか。

 そんな疑問と、観光商売に寄りかかり、客引きは積極的にするくせに、客を店に入れてしまえば、内側では荒れた家庭環境丸出しという中途半端な商売っ気のあたりが、小樽という見せ掛けの美しさを売り物にする街のちょっとした嫌らしさであるように思うのだった。

 雪の港はそれなりに美しいが、新旧の建物を考えもなくきらびやかに飾り立てる不自然な小樽のセンスに関してはいつも疑問で、そのせいか、ぼくはここを観光で歩いてみようなどとは一度も思いついたことがないのだった。