旅はまだ続く
家に一泊しただけで、すぐにまた旅支度。北海道は広い。
今日は帯広へ。ずっと天気がよい。12月の初めに走った時よりも明らかに積雪が増えている。
帯広の気温も朝晩は氷点下10度を超えているらしく、確かに繁華街を歩くだけでも、頬や耳が痛い。「刺さるんだよね」、と同行者が粋な表現をする。頬に冷たさが刺さる、のか。ふうむ、文学的な表現だ。スロットとコミックにしか興味がない、文化の反対方向にいる三十代の刹那主義男でもあまりに冷たいと頭がきりっとするらしい。
そう言えば屋台では流しの三味線引きのおじちゃんに、取引先の社長がおひねりを何度もあげていろいろな民謡を歌ってもらった。どんなジャンルであれ極めた人の音楽っていうのはいいもんだな。
最後に50数周年になるというジャズ・バーで、『ブルー・トレイン』をかけてもらった。西日暮里のジャズ・バーでこのレコードをかけてもらったのは、30年前。その後、ブルーノート・レーベルの復刻版で、コルトレーンやドルフィーを買いまくったのは就職して数年後のこと。ジャズを聴くために、ハイファイを揃えたっけな。40万円くらい投資して、それは壊れずにすべて、北海道に来てもたまに思い出すときに活躍してくれている。でもこの日入った店みたいにレコードの音質をキープできていない。何故だろう。なぜ、擦り切れているのだ、ぼくや、ぼくのレコードばかりが。