荒海

　風が強い中、旧友が旅行に来ているので少しだけ会おうということになる。
　ナビつきレンタカーで移動しているということなので、石狩市民図書館の電話番号を知らせ、ナビどおりに来てもらい、石狩浜のハマナスノ丘公園へともに出かけた。強風でとても寒いから、レストハウスで荒びた風景を眺め、日本海の荒海を見てもらった。
　小樽のほうへ続く石狩湾の陸景も分厚い雲に遮られて見えない。砂浜に近づこうとすると風で砂が飛ぶ。砂粒が頬に刺さって痛い。
　わずかな時間で貪欲に名だたる地名を辿る旅行者を、ぼくはたいていここに連れてくる。なぜかといえば、こうした場所の強烈な風や、白く砕ける波の方がずっとずっと本当の北海道らしいからである。