シュンの日記なページ

当別町スウェーデンヒルズ移住者 ブックレビュー 悪性リンパ腫闘病中 当別オジサンバンドOJB&DUOユニットRIOのVocal&Guitarist ツアーコンダクター 写真 スキー 山 田舎暮らし 薪ストーブ

危ない落し物

 ACLを見るんだと張り切って帰宅する。少し前の季節と違って、6時にはもう真っ暗闇だ。秋の陽の釣べ落としなどを味わう余裕もなく、とにかく会社を出るとあっという間に闇夜になるのだ。北の緯度は厳しい。途中、前を行くトラックが遅いので、こんにゃろ、と心の中で呟く。キックオフに間に合わねえじゃねえか、と呟く。絶対に余裕で間に合うのに。
 するといきなり前のトラックの荷台からでかいものが落ちてアスファルトに弾んだ。高く飛び跳ねて三度くらいバウンド。私は車のフロントノーズを大きく外回りさせて迂回。何と、弾んで止まったのは台車ではないか。それも畳まれていない手すりつき台車。
 私は車を停めてパッシング。気づかず走り行くトラックを今度は追いかけて、クラクションを激しく鳴らすと、トラックは停まり、私を無視して荷台のほうを点検に行こうとする。私はサイドウィンドウを開けて、もう一度クラクション。気のよさそうなおじさんがこちらに気づいたので、
「台車が落ちたぞ」と叫ぶ。頭をぺこりと下げて走ってゆくおやじ。だいぶ走らないと台車のところまで戻れないと思うけれどなあ。
 でも、そこに子供連れの母子なんていうのが歩いていて、鉄製手すり部分が子供の頭部に当たって、なんていうことを想像すれば、十分に惨劇になり得る可能性だってあったのだよなあ、と思えば、喜劇で済んだゆえに、大声で怒鳴りながらも笑顔を浮かべてしまった私はまずかったか、と後悔する。気のよさそうなおやじが、慌てている様子につい怒りを忘れてしまったのだが、後で思えばとんでもない危険な荷の積載状態ではないか。時速40kmのとろとろ運転で落とす台車だ。よほど酷い積み方をしていたのではないか。夜の北丘珠、ほとんど交通量とてない田舎道だから済んだ話だったのではないか。
 少し複雑な思いで家に帰った。レッズがアウェイの韓国の地で快勝してくれるまで、私は心を喜びとビールと焼酎でいっぱいにし、試合が終わった頃、台車が軽々と空中に何度も弾んでいたあの異様な光景を、瞼の下で何度も何度も反復してしまうのだった。