回復
昨夜は体調を崩し、今日は6時間しか眠っていないにも関わらず、何となく問題なしの朝を迎える。天候は回復し、風は強いけれど、青空を雲がちぎれては飛んでゆく。
一日中、過去ブック・レビューの整理をしていた。大昔に書いた書評。マクベイン、船戸、佐々木譲、篠田節子、宮部みゆき……と20世紀の作品評を、いろいろなファイル、アーカイブから溶かし出してはwikiにアップロードして整理してゆく。一日、好きな本の整理をして過ごすのもたまには悪くない。ましてや昨夜心配された体調がすっかり元に戻っているとあっては。
「ベスト・アメリカン・ミステリ2004 スネーク・アイズ」読了。アンソロジストのオットー・ペンズラーに、読んだことのない作家ネルソン・デミルがゲスト編集者。前半、ちょっと首を傾げたくなるような短編が多かったためにスローペースになったのだが、後半の短編は傑作揃いだった。特にジャック・オコネルはやっぱりクレイジーなクインシガモントの街でぶっ飛んでいた。短編集も、やはりいいな。
夜、宮城の父が退院したと簡単な知らせが入ってその電話は妻が受けた。「酸素ボンベごと帰ってきたらしいよ」とは妻の言葉。前職で勉強したことのあるケース。COPDともCOLDともいう。慢性肺疾患。父は、在宅酸素療法が必要になったのだ。煙草はとめられただろう。酸素のシューシュー流れる中でライターの火をつけたら、顔中大火傷することになるだろうから。
そう言えば、日中、埼玉の母から二度も三度も電話がかかってきた。財布やキャッシュカードをヘルパーから隠そうとしたのはいいが、どこに置いたか思い出せないと言い、こう付け足す。「ヘルパーはいろいろなものを盗んでゆくからね」
歳を重ね健忘がひどくなる。軽い認知症と診断されても不思議はないな、と最近の母の電話の急増、内容について思い、そしてぼくは深々とため息をつく。