ふきのとうと、風花と
本別町から釧路に抜ける峠への道々、雪どけの土からふきのとうが顔を出している。蕾のままのものも多いが、早くも弾けているのもいくつか。
峠を登り切ると小雪がフロント・ウィンドウに舞いかかる。積もるほどではなく、風花というのがちょうどよいくらいの、夢のような雪片だ。
釧路への下り道、鍛高(たんたか)という土地を通る。紫蘇の産地で、ここで取れた紫蘇から作った焼酎が鍛高譚(たんたかたん)だ。ぼくはこの焼酎、甘すぎて嫌いなのだが、あまりに珍しい地名なので、ちと気になる。
牧草ロールを積んだトラックが前を走っていた。転がり出しそうで、何だか怖い。
夜は釧路末広に繰り出し、知り合いと呑み交わす。鯨刺し、海胆、牡蠣バター炒めってところが美味かった。昨夜呑みすぎたのだが、今日もきりん山が入っていたので、また日本酒に手を出してしまった。
最後はつぶ焼きとラーメンしか置いていないという人気店で瓶ビールで締める。つぶ貝をどんどん焼いていて、客の回転も速い。つぶと頼むと、すぐに熱い焼きたてが出てくる。ラーメンは黒醤油のあっさり味で、好きな味である。飲んだ後にはことのほか美味しい。