謎の書店員とは?
ヴィレッジ・ブックスが自信作を出すときには、たいてい「全国の書店員が大絶賛」というような言葉が帯に書かれる。書店員って、果たして読書の達人なのか? 書店員は本を売るために、レジで本に要領よくカバーをかけたり、お目当ての書棚にきっちりと本をしまいこむようなことが得意なのだとばかり思っていた。
でもきっと版元が書店員の感想をどんな読者よりも早く集めて、帯に刷るくらいだから、書店員とは読書家なのだろう。本が好きだからという理由で書店員の道を選んだという人には、めぐり合ったことがないので、納得がゆかぬままに、それでも帯の影響を受けて読んでしまうのだが、コーディ・マクファディンの『傷痕 上・下』、確かに面白いのである。『報復』も同じ書店員に認められ、面白かったのだが、ぼくはさほど好きではない。
でも不思議なことに、「書店員」を大乗段に振りかざして本の宣伝に代えるのは、ソニー・マガジンズ社のヴィレッジ・ブックスだけみたいなのだ。そういう書店員は普段はどこに住んでいて、本屋のどこで本を読んでいるのだろう。果たして仕事ができる有能な人なのだろうか。……と、相変わらずこだわっている、ぼくなのであった。