優しい時間
秋の観光の三点盛りセットみたいな旅行を贅沢に楽しむ一日。おまけに高校の懐かしい友らとの再会があり、心おきなく呑める酒の美味さがあるはずだ。この世の幸せであるな。
朝、大宮でゴルフ仲間四名が合流。やっぱり昨夜の酒が抜け切れていない最悪の体調である。新幹線で越後湯沢に移動。車中、何とか朝飯に鮭握り一個をお茶で流し込む。
越後湯沢では迎えのマイクロバスに乗り、ゴールド越後湯沢カントリークラブ到着。F君は昨年も訪れているらしいが、名前が変わったので同じ場所だとは気づかなかったという。どこのゴルフ場もどんどん経営者が変わってゆくご時世。
二流の温泉ホテルみたいなところで受付を済ませ、着替えてから、ふたたびマイクロバスで、ゴルフコースのある山の上に移動。ここでようやくゴルフ場らしいクラブハウスに入る。
山岳コースで打ち上げ・打ち下ろしが激しいが、今日はドライバーが決まり、大きな崩れが少ない。周囲は紅葉だが、遠景に見える大源太山・足拍子山塊のスカイラインと、陽射しにきらめく山肌の錦繍が見事で、特にスコア的にもゆとりのあるF夫人はご満足の様子。
スループレイに慣れている北海道人にとっては昼食の休憩は奇妙な感じであるのだが、体力の配分を考えればまあこれも悪くない。午後には、少々調子を取り戻して、まあ自分としては悪くない類のスコアでラウンドを終了。仲良く古い友達と遊ぶ時間がなによりも楽しかった。
帰宅するF夫人とはここで別れ、ホテル双葉へ投宿した。二十八の風呂があるという豪勢な宿。ゴルフをやらなかった観光組とは夕方の湯船で湯気越しに再会。男女8名ずつのけっこうな参加人数なので、にぎやかなクラス会となった。多くの懐かしい友達の上に刻まれた時間の重みこそがこの年齢のものなのだが、それをいろいろな感慨とともに感じながらも、世のしがらみを忘れ去って十代の頃の仲間たちと楽しむ時間は、他では代替えの利かないくらい心の癒しに満ちている。
貴重な優しい時間を、ひさびさに見つけた思いで夜はどんどん更けてゆく。