釧路、赤ちょうちん

　釧路の繁華街の外れに近いあたりに、赤ちょうちん横丁がある。その屋台村の店の一軒で待ち合わせていた先輩が先にビールをやっていた。先輩の母がやっていた、地元では超有名なその店は、今は縁筋の若きマスターに継がれている。ぼくが入ったとき、棚の上のテレビでは日本シリーズで日ハムが3-1で勝っていた。

　何でも釧路で老舗のこの店は、レバ刺し発祥の店とも呼ばれ、大勢の大物名士諸兄に愛されてやまないらしい。そのレバ刺しは山わさびで食べるのが特徴。薄切りではなく、角切りのようなレバ刺しは鮮度が違う。えも言えぬ美味しさである。先代のお婆ちゃんがやっていた頃はさらに美味しかったというから、凄いものだ。

　他にサンマ刺し、シメサバなどを食べ、釧路の辛口銘酒「福司」をコップで呷る。うぐぐ、う、うめえ！　って雰囲気か。

　運送業界社長と呉服関連社長と、待ち合わせ人である元某署長と、一応自分も含めて、長のつく人ばかりが並んで、和気藹々と爺臭い酒飲み大会を開いてしまった。釧路の文化を切り開いて見るには誠に絶好の店なのであった。