シュンの日記なページ

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室蘭の思い出

 取引先と中央町にて呑み会。今では室蘭の中心部は東室蘭中島町に移っているというが、今でも、古い室蘭の人は、近い中島町よりも遠くの中央町を好むのだそうだ。カレーラーメンで一躍有名になった「味の大王」もこの中央町にある。おいしそうな古びた焼き鳥屋の暖簾が路地裏に連なっている風景は、何だか自分の中の原風景みたいに懐かしい。

 室蘭に泊まることはあまりないけれど、もともと最初に北海道に青函連絡船で渡った最初の夜、室蘭本線でゴトゴト揺られて泊まったのが後輩Uの実家だった。

 その夜ぼくは室蘭駅まで行ってしまい、後輩宅に電話をかけたら、母親が出て、室蘭ではなく一つ手前の母恋(ぼこい)ですよ、というので、降りたばかりの電車に乗ってまた一駅戻ったのだった。

 美味しい家庭料理、温かい風呂、夏なのに震えてもぐりこんだ布団の感触を覚えている。後輩の友人の車に揺られて伊達からオロフレと走り、途中の農家の直売店でメロンやカボチャを買った。後輩宅で、母親がカボチャを美味しく煮てくれたあの味を今も忘れられない。

 後にその母親が癌との闘病生活に入った折、お父上に頼まれ札幌医大に相談に出かけたり、パリに住んでいるUとも電話でやりとりをした。母親は治療の甲斐もなくこの世を去った。Uの家は今も母恋の駅のそばに建っており、父親が独りでそこに暮らしている。母恋の駅では毎年母の日を祝い、カーネーションで真っ赤に染まる。白いカーネーションは、その駅にはあまりに悲しすぎるかもしれない。