シュンの日記なページ

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なぜ、今、『ミュンヘン』?

 ぼくはリアルタイムにミュンヘン五輪のときのテロのニュースに接した世代であるが、それ以上にこのテロを印象付けたのは、『標的は11人』ジョージ・ジョナス著という本であった。「モサド暗殺チームの記録」という副題がついていて、新潮文庫から出ている。なぜこれを原作にした映画がスピルバーグによって今頃映画化されるのかな、と驚かされる。

 本日のめざましテレビで特集されており、本書も紹介されたのだが(既に復刻している!)、映画はテロに対する暴力という手段そのものを糾弾する傾向にあり、ユダヤ人から総スカンを食っているようだ。それがあえてスピルバーグという子供っぽい感覚を持った人のナイーブ、ピュア、無神経、シンプル等々いろいろな言葉で表現されやすいところなのだろうが、いずれにせよ、彼が取り上げたというだけで、この題材は地球を光速でかけめぐることになりそうだ。

 ちなみに早川書房からは取り急ぎ『ミュンヘン』という本が出ている。「オリンピック・テロ事件の黒幕を追え」という副題がついているが、著者が何とマイケル・バー=ゾウハー&アイアン・ハーバーとなっている。『標的は11人』がぼくの中では忘れがたい傑作であるだけに、類似本に有名作家を無理やり共著にさせて世に出してゆく出版界のチャッカリぶりには呆れもするが、事件が事件であるだけに、こちらにも手を出したくなってしまうのが少しばかり悔しかったりする。

 さて家の中のどこかにある『標的は11人』、結局見つからないまま。ぼくがFADVに入ってすぐの段階で、前任者であるOKIの書きたての感想を読んだことを思い出す。件の書はさらに遡って出版されたものだから、20年前後も前に読んだものであると思う。

 なぜ、今になって、『ミュンヘン』なのだろうか? と思いきや、ラストシーンがツインタワービルの前で撮影される、と聴き、やはりスピルバーグユダヤ人である以上にアメリカ人であるのか、などと無責任に思いを馳せたりしたのだった。