ファイナルの味
ナビスコカップ決勝には三年連続してレッズの応援に駆けつけてきたのに、今年は、他チーム同士のファイナルをテレビで寂しく観戦することになった。
レッズはジェフとの準決勝で死闘を演じたのだが、一度はレッズにも目が出るかと思われたのを、阿部のど根性で再び突き放され、涙を呑んだのだった。だから、ぼくはジェフを応援することに決めていた。
もちろんガンバとジェフは、Jリーグ開幕当初、弱かった頃のレッズがどちらかと言えば得意としていた2チームであり、レッズはこの無冠の2チームより先んじてタイトルを奪っていることになる。そうした出来の悪かった3チームの思い出があるからこそ、このファイナルは、見応えを感じた。
試合内容をどきどきして見た。後半ロスタイムの巻のゴールは、主審のあまりにも厳しすぎる判定によって幻となってしまったが、その後の死闘があり、PKでジェフが勝ったのも、そこまでの流れから言って妥当だったように思う。
ファイナルの感動を他チームから受けながら、オシム監督というカリスマのスキルに感服する自分がいた。スター選手を抱えず、若い選手たちだけで勝ち得てゆくこのような勝利があるからこそ、サッカーには、そしてこうした大試合に素晴らしい価値が見出せるのだと思う。本当にどきどきした。もっともレッズを生で観戦した昨年までの三度のファイナルほど心臓を痛めつけはしなかったけれども。