シュンの日記なページ

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傘をささずに

 GW中のシステム入れ替えは、仕事にとてつもない負担をかけてくれる。早めに帰って予約してあった歯医者をというプランも駄目になった。次善の策として用意していた、もう痛い歯は治したから歯医者はやめてゴルフの練習に行くというプランも、どちらも駄目になって、夜のフリータイムはなくなった。
 せめてもと、帰りの車ではしっかり聴きたいCDを選ぶことにする。ぼくはCDをケースから取り出して、分厚いフォトアルバム様のファイルブックに入れて管理しており、そのうちの一冊を車に乗せておく。アルバムをめくるようにページをめくり、選んだのは"DYLAN & DEAD LIVE"。先日見たばかりの『フィルモア最後のコンサート』でのジェリー・ガルシアのギターと、グレイトフル・デッドのラフでリラックスした軽快なサウンドに乗る、ディランのエキセントリックなボーカル。雨の札幌東区を駆け抜ける音としては、これ以上ないほどはまる。
 小さな町並みを潜り抜け、石狩街道に出たところで、女子高生が三人ほど自転車に乗って信号を横切る。篠つく雨の中、傘もささずに。
 札幌のティーンエイジャーは、まず傘をささない。傘を忘れてきたというのではなくって、最初から傘なぞささない。関東在住時代のぼくもまさにそうだった。もっと極端なことを言えば、山の上でテントを張っていて雨が降り出したりする夜、そこが北アルプスの高度3000mであろうと、ぼくはテントから頭を出して、雨を浴びて眠ったりしたことがある。なぜそういう気分になったのか、今ではよくわからないが、事実よく眠れたのだ。
 だからと言うのではないが、札幌の女子高生が三人が三人とも傘をささずに自転車で走り抜ける夜の図というのは、それなりに納得がいったりする。
 そういえば、ロンドンに長く住んでいた人に、ロンドンッ子は傘を差さないでしょう、と言ったら、それが図星で驚かれたことがある。ジャック・ヒギンズの描いた世界は主にアイルランドベルファストだけれど、傘をささず、雨を喜ぶヒーローの姿がやけに多く出てくる。
 雨の日に傘をささないという、なにか「主義」のようなものが、どことはなしに好きである。ちなみに今のぼくは、上京するとすぐに傘をさし、札幌では滅多なことでは傘をささない。その秘密は、日ごろの湿気、乾きやすさの違いなどによるところが、どうも大きいようである。少なくともロンドン帰りの友人は、ロンドンッ子の傘嫌いについて、そう説明したのだった。