時化た海から冷たい真冬の風が吹きつけてくる。車から降りると一秒もいられないほどの寒気。
昨日とは一転して強い発達中の低気圧に北海道西北部が飲み込まれているのだそうだ。輝く太陽と痛烈な風雪とが順繰りにやってくる日高での一日を過ごした。
札幌への帰路、海を見ると高い波が白く裏返って見えた。手狭な砂浜からは、フロントグラスに砂粒がばら撒かれて、機関銃のような音を立てている。北海道の中でも田舎の田舎、それが日高だ。サラブレッドの産地である広大な牧場を雪山ぺテガリが限って神々しい。桜咲く5月に何度か訪れたことのある土地。春はまだ遠い。