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エリート

 山瀬の横浜Fマリノス移籍が決まってしまった。既にとっくの昔から敷かれていたレールの上を自動的に定められたかのような経緯を辿って。
 札幌在住のレッズサポにとってはかなりこたえる出来事である。福田がレッズを去ってその後を継ぐのは、代わりに札幌から移籍してきた山瀬だと信じていた。9番を継いだのが永井だったことに、その頃は個人的に落胆もしていた。そのくらい若い山瀬にミスターレッズのイメージを持っていた。だからこそ、今回の唐突なように見えるがきっと背後ではレールを敷く人たちが存在したのに違いない移籍ゲームにはこたえた。
 W杯では城と心中した岡ちゃんは、その後札幌でもマリノスでもまるで政治ゲームのようにいい選手を取ってくるマジックを備えていた。どこにその政治力が備わっているのかわからないが、これといった存在感のなさが高いギャラと政治力の秘訣なのかもしれない。財政的に苦しかったコンサドーレが選手よりも岡ちゃんにギャラを使っていたものだ。
 山瀬は札幌で獲れた果実である。うちの息子が年少期に入っていた少年団がいつも優勝旗をかっさらわれる札幌スリーエスというチームから生まれ、怪我さえなければ常時代表選手扱いになるべき天才である。いわゆるサッカー・エリート。コンサドーレのサポの二年前の気持ちが今になってわかる。ドライもドライ。何らためらいもなしに移籍してゆく選手がいて、一方ではギドやペトロ、ウーベ・バインやアイトール・ベギリシュタインのように遠い国から少しだけやってきた助っ人でありながら世界で一番目か二番目にレッズというチームを愛してくれたフットボール・プレイヤーも確かに存在する。
 同じエリートコースでありながら無冠の天才であった小野伸二もまたレッズをいまだに愛してくれている(きっとフェイエノールトの次くらいに)し、岡野や室井のようにレッズを去ってから戻ったときにはすんなりレッズサポの心の中にまで溶け込んでくれる選手たちもいる。
 レッズの水が合わなかったという一言で果たして済ませられるのだろうか。山瀬を引き止められなかった、あるいは山瀬がレッズを去ろうと思うような何かがレッズというチームのどこかにあったと、ぼくは推測する。チームメイトや指導者との相性だったのか。クラブハウス、練習場の芝生、サポーターの闊歩する浦和という町についになじめなかったのかもしれない。孤独をもてあましたのか、それともただたんに魅力がなかった、レッズのどこにも……ということなのかもしれない。
 とにかくこのエリートが去り、二億円何がしかの移籍金がレッズというチームに残ったらしい。その金額の高さが、あまりにも空しく感じられる。自分の見た夢に、それは到底変える事のできないものだからだ。