一年の垢を落とす
毎年一年の垢を落とすために、年末には番屋の湯に出かける。石狩川が日本海に斜にぶつかる河口のところ、夏は海水浴場となる砂浜を前にした露天風呂が、札幌近郊ということで一年中人気で、ぼくは昨年末これをさぼったから本当に久しぶりになるのだ。
息子と二人でさんざん温泉を楽しんだ。混んでいて洗い場の確保も湯船の座り位置の確保も大変だったが、日本海の荒波を見つめ、手稲山に点るスキー場のナイターの灯りを見つめ、今年最後の日の烈風に吹かれながら湯にざんぶと飛び込む快適といったら、やはりこれ以上のものはないといった気分だ。
湯を上がると先に家内が出ており、そちらは空いていたのだそうだ。男女の訪問者比になぜ、差が生じるのだろうか、とはたと考えた。きっと世の女性陣は大晦日の夜の準備に追われ、男たちは帰省の機会にと友達同士で温泉に繰り出してきているのだ、おそらく。
息子はラムネを、ぼくは倉島牛乳と壜に書かれた懐かしい白牛乳をぐびぐびと飲み干した。息子はラムネの蓋を開けるのに散々苦労をしていた。