シュンの日記なページ

当別町スウェーデンヒルズ移住者 ブックレビュー 悪性リンパ腫闘病中 当別オジサンバンドOJB&DUOユニットRIOのVocal&Guitarist ツアーコンダクター 写真 スキー 山 田舎暮らし 薪ストーブ

優勝の瞬間

 バックスタンドはガンバ大阪の敗戦の様子をラジオ携帯その他で知っており、それらの噂が試合中ひそひそと流れていたそうだ。だけどゴール裏は知らなかった。選手たちも。だから今日の試合に負けた瞬間のバックとぼくらの感慨の差は天国と地獄だ。ぼくは個人的に高い旅費や時間を使って札幌からやってきているのだから、この日に決めてほしかったのに、きっと負ければ次に持ち越される公算が強いということなどあれこれ打算的なことが頭によぎり、優勝の瞬間を見ることができないことが悔しくてならなかった。大変がくりと来ていた。絶望に近いといってよかった。バックはその瞬間優勝したことは知っていたのだ。「ゴール裏は知らないから紙テープを投げるのはまだ待て!」と言い合っていたそうだ。
 ゴール裏は敗北の瞬間、しーんと静まり返った。目の前で何が起こっているのか理解するのに時間がかかった。レッズベンチに殺到する報道陣の背中が普段の何十倍もいるように見える。何かが起こっている。それでも確信はない。場内アナウンスが流れ、ようやくガンバが負けたことが伝えられる。朝井夏海の声がレッズの優勝をアナウンスした瞬間、ゴール裏の沈黙は歓声に変わった。スタンドを埋め尽くすテープが川となりグラウンドに雪崩れ込んだ。運び込まれる表彰台に群がる選手たち。オーロラビジョンで喜ぶギドの姿。倒れこんで天を見上げる鈴木啓太の姿。山岸の姿。
 絶叫の渦の中で優勝の瞬間を味わっていると、自然涙が込み上げてきてしまう。負け試合だなんて、なんとも世話の焼けるチームだぜ、と思いつつも、喜ぶ選手たち、喜んで男泣きになるコアなサポーターたち。シャンパンが開けられ、振りまかれ、それを浴びるサポたち。
 選手たちがグラウンド一周をはじめる。キッズスペースに押し寄せるエメとそれを追いかける報道陣。スタンドに飛び上がりサポたちの中に飛び込んでくる永井の笑顔がすぐ間近にある。優勝を笑顔で味わい、次の瞬間涙でそれがぼろぼろになる。何とも複雑なリズムで感情が波となる。