函館の昼飯グルメ

　老舗の蕎麦屋「かさや」のカツ丼を男三人で食べる。とっても分厚い豚肉を揚げて作ったもので、ボリュームがありすぎるからまず完食は難しい。カツ丼というよりご飯とカツ煮を別にしたもので、だからこそ飽きずにそこそこ食べてゆける。とにかくちとしょっぱいが美味いことこの上ない。
　函館での昼飯は、いつも迷う。塩ラーメン屋には事欠かない。ＧＲＥＹの通っていたというカレーライス300円台の店クレイジーピエロのチェーンに誘われたときは、あまりの派手な外装と若者向けの奇抜なデザインゆえに断ったことがある。
　函館で出張族の人気メニューは、なんと言ってもコンビニ「長谷川ストア」の焼き鳥弁当である。好きな焼き鳥をその場で焼いてもらい、あつあつのご飯に載せてもらうだけの弁当。でも焼きたての焼き鳥をおかずにご飯というのもなかなかオツである、とは同僚の話。つきあったことがあるが、コンビニの駐車場で男二人雁首そろえて弁当を食う構図というのはそれだけで落ち着かぬことこの上ない。ぼくは少なくとも嫌だ。
　ほかに函太郎の回転寿司も棄てがたいし、比較的新しいけれど、ぱりっと揚げてくれるこれまたボリューム満点のとんかつ専門店だってある。蕎麦屋も美味い。
　とにかく昆布だしというのが函館の味の基本にあるみたいだ。カツ丼のつゆも昆布だしの深みがじわっとご飯にしみて、つくづく美味いのだった。
　後は帰りに大沼公園の美しさを味わいながら、大沼団子をお土産に買って帰れば本望である。当日中に食べてねと注意されるのだが、それだけ保存料も何も使っていない天然の手作り団子ということである。ちなみにこれはＪＲの車内でも売っている。森町のイカ飯、長万部のカニ飯同様、この路線での有名な駅弁に亜流として名を連ねる300円台の貴重な美品なのである。