アイドル対決

　オーウェンの好きな家内と、イングランド対フランス戦を見ていて、前半終わりに近いところでベッカムのＦＫにランバードが頭で合わせて先制したところで、ぼくはビデオを止め、フカキョンの『農家のヨメになりたい』へチャンネルを合わせる。家内が文句を言うのだが、家内がオーウェンを好きなように、ぼくはこのドラマでのフカキョンが気に入ってしまったのだから仕方がない。向こうのアイドルはビデオで再現できるけれど、ビデオを止めねば、現在放映しようとしているフカキョンは見れないではないか。一波乱の後に無事ドラマを見始めたのだが、カンヌで上映されたフカキョン主演の映画『下妻物語』に世界中から配給のオーダーが流れ、深田恭子世界デビュー！　とのニュースを今日の昼どきインターネットニュースで確認した。こんな夜くらい、たとえユーロの黄金カードを中断しても（ビデオだし）いいじゃんかという思いがあるのだ。案の定フカキョンは終始かわいかったし。
　と中断していたサッカーにまた戻る。一点が入ってから俄然面白くなり、アンリは走るわ、リザラスは前に出るわとフランス攻撃陣対イングランド守備陣の見ごたえある攻防を味わう。真剣の鋭さを持った緊迫のゲーム展開は、やはりベッカムに対抗するもう一閃の切れ味によって流れを変えられた。わずか一分も要さない、非情なるサッカーというゲームの持つ劇的な凄み。世界のトップを争う国と国との国際試合がもたらす、本当に強烈な居合抜きのような凄愴なる試合。たまらない夜だ。