シュンの日記なページ

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悪天続き

 ここにきて吹雪が続く札幌。日本海側は、馬の疾駆する浦河とは違う。
 今日は、ぼくの勤務先の上場の日。店頭株式公開、IPOというやつで、株の初値がいくらに付いている、などという噂、電話が行き交っている。
 午前中ばたばたと過ごし、早弁をして、正午に出かけ、発寒から中央区へ回る。道庁に車を止めて、石狩支庁、かでる2・7を何度も往復する。
 途中、道庁別館の喫茶を利用するが、木目調の内装に広々としたスペースが心地よい上に、何とコーヒーが昔懐かしい250円という価格。さすが公共の施設内の店である。ダッチコーヒーをぐいっと呑むと苦みが口に拡がる。ザラメ砂糖の瓶から一つまみ口に放り込む。何だか疲れてきているから。
 会社に戻る途中で風雪が強くなる。
 取引先の方の奥さんが50歳の若さで亡くなったので、今日はお通夜に出かける。
 北海道の斎場はシステマティクである。香典を渡すと、その場で電動カッターにかけて中身を空ける。すぐに隣の係が領収証を切る。供花は予め斎場で手配でき、ぼくは事務所の窓口でお金を払うだけでよい。お通夜も告別式も巨大な斎場を使う。大きな部屋の真正面に祭壇があり、遺影が祭られ、花や星に取り囲まれている風景は圧巻。流れ星のように見える動く電飾が星空である。
 お坊さんの読経はマイクを通してBOZZのスピーカーから、みんなの耳に行き渡る声で響く。
 並べられた椅子に拝礼の客が座り、焼香の盆が回されて来る。膝の上に載せて、両手を合わせ、焼香をする。葬儀委員長の挨拶が終わり、最後に挨拶をして部屋を出てゆく。ロビーがあって、そこで雑談にふける業界関係者たち。
 外はマイナスの気温。凍りつく道路。
 乳がんとの闘病生活6年を終えた額縁の中の笑顔は、華やかで奇麗な奥様であった。仕事で毎日のように顔を合わせる、とても大きな体の喪主が、力なく項垂れ、時折ハンカチで涙を拭っていた。大学生の息子と、高校生の娘が正装できりっとして見えた。きちんと、来客たちと挨拶もしていた。一家の妻であり母である人がいなくなってしまった家庭を思うと、とても気の毒に思う。これまでの闘病生活にしても、さぞかし大変なことだったろう。そういうことをおくびにも出さず、巨体の喪主は、朝一番に、いつもぼくの会社の駐車場に車を停めるのだった。
 疲労のピークに達したぼくは、家への凍路を、怖々とハンドルを握り締めて辿る。
 家に帰ると、MDP増刊号が来ていた。昨年の年間購読者であるためか無料。今年はまだ申し込んでいない。善意のプログラムのなかには、新しいレッズの選手たちの紹介がいっぱい。シーズン、間近。冬の終わりはまだまだ遠いように見えるのだが。