年賀状
明日くらいまでに出さないと元旦に届かないというので、意を決して年賀状製作に取り掛かる。昔は「年賀状書き」とでも言っていたものが、今では「年賀状製作」だ。今年は息子の写真も他の写真もほとんど撮ることがなかったので、例年の息子と北海道の自然シリーズという題材は使えない。とても苦しい。
というわけで四半世紀前の山のアルバムを引っ張り出してきて、若い時代の自分の写真を使うことにした。年賀状としては少し異常かもしれないけれど、この一年間ろくすっぽ写真も撮らずに過ごしてしまったのだから仕方がない。来年はぼくも年男なので、まあ25年前の自分の写真というのもいいだろう。背景は雄大なアルプスだし。
でもやはりどことなく悔いはあるのだ。写真くらい撮れる日々へと、今を改善しないといけないという強迫観念も。失業、就職と身辺をめぐる急変があったために、蓄えを食いつぶしてこざるを得なかった。家族にも苦労をかけた分、写真を撮るという余裕さえなかった。そもそも夏の道北旅行以外、今年は旅らしい旅にも出なかった。来年こそは、きちんと旅に出て、きちんとカメラを構えて、奇麗ないくつもの光景に巡り合うくらいの余裕ある日々に戻そうと思う。
年賀状を製作しつつ思うのは、いつも終わり行くその年のこと、めぐり来る翌年のことばかりである。そして多くの宛名の持主たちの顔。年賀状を毎年やりとりしていたのに、この世からいなくなってしまった人が今年は二人。そういうことを噛み締める作業でもあったりするのだ。